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釣日記 怖かった話 その2

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釣日記 怖かった話 その2

昭和46年の1月半ば頃のことだったか。。。
「人間って怖いな~」と思ったことを、自戒をこめて記します。

水難事故


東京に来た頃は、
『東京沖釣り会』の同好会メンバーの一人として
久里浜、駿河湾の長井、小坪辺りで
カワハギ釣りに熱中していた。
その同好会も自然解散となってしまったが。

その後、走水のボート釣りをおぼえ、月に何回か走水に通う。
釣れても、釣れなくても、
ボートに乗っていると、うすらぼんやり~っとした
いい気持ちになれたものだ。
こういう状態を『無心』というのか…などと(見当違い?)思ったりしながら・・・。

さて、横須賀走水の話にもどるが、
その日は、友人に誘われて、走水のアイナメ釣りに出かけた。
出船は午前8時なので、自宅を6時頃出て、
横須賀線に乗り、横須賀駅で下車。
観音崎行きのバスに乗り、走水港前で降り、船宿に急いだ。
急ぐのには理由がある。
釣座の確保と餌のイワイソメを手当てするためである。
イワイソメは、入荷が少なく、貴重品のため、
まま品切れになることがあり、
その時にはアオイソメを使うのだが、食いが全然違う。
隣の人の餌がイワイソメで、自分の餌がアオイソメだった場合にはやり切れない。
いやになるくらい釣果に差が出る。

幸いにも、その日はイワイソメを手当てできたので、乗船して準備にかかる。
少し北風も吹いていたので、防寒具を再点検。
両足裏と腰にホカロン。
準備万端整え、仕掛けをチェック。
各人、大漁を期待して、仕掛けの準備とチェックに夢中。
この時が、釣り人にとって至上の時かもしれない。

私は、船首の方にいた。
準備もあらかた終わり、今日は何艘くらい出漁するのかと見回していた時だった。
スピードを出して湾口に入ってくる小型漁船が目に入った。
スピードを落とすことなく、真直ぐ船着場に向かい、
着くなり、船頭が飛び降り、重そうな荷を下ろす。
船着場にいたボート屋のおかみさんらしき女性が、
今下ろしたばかりの荷カバーをめくって、合掌している。
水難事故だったんだ!
朝早くボートで釣りに出て、事故に会ったのか…。
昨年、私も事故に会いかけたので、思わず身震いした。

それにしても、普段と変わらぬ静けさ。
騒ぐでもなし、然るべき所から人が来るでもなし・・・
おかみさんらしき人が、ただ一人立っているだけ・・・。
乗合船の釣人は・・・と見ると、釣りの準備に余念がない。
十数人いる同船者も、ほとんどがこの事故に気がついていない様子。
「事故みたいですね」 と私。
隣の釣り人 「えーっ!」
「あの浜…水難事故みたいですよ」と、私が船着場を指すと
「あぁ、事故ですね。この時期、風が定まらないから危険ですよね」と言いながら、仕掛け作りの手を休めない。
『人の死』に対する感覚って、こんなものかな~。
いささか怖くなった。

何事もなかったように、定刻に出船。
午後2時頃までの釣りだったが、
なんとなく重苦しい気分だった。

(記:副代表)

この記事のカテゴリーは「釣り日記」です。
釣り好きのまる工房副代表が、釣りの思い出を綴っています。
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