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釣日記 怖かった話 その1

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釣日記 怖かった話 その1

昭和45年1月半ば頃・・・
横須賀の走水へボート釣りに出かけた時の話。

狙う魚は、カレイとアイナメ。
どちらかというと一人で出かける事の方が多かったのだが、
この日は、釣り歴の浅い友人を誘って出かけた。

午前9時、JR横須賀駅で待ち合わせて、
観音崎行きのバスに乗った。
乗客は数人。
乗客はほとんどが釣り人で、
街中から海岸線を走り、
走水港前で数人の釣客と一緒に下車。
だいたいの人は、走水港からボートを出すのだが、
我々は、走水港と背中合わせになっている
旗山崎側の貸しボート屋をつかう。
そこには小さな砂浜があって、瀬戸内の雰囲気がするので、私は気に入っている。
ずい分昔のことなので定かではないが、ボート代は3千円だったか。。。

完全防寒装備をして、ボートに乗り込み、
波とのタイミングを計りながら砂浜を離れた。
私がボートを漕ぎ、
友人には舳先でのアンカー係をお願いした。
沖合いには、点々と先客のボートが見える。
その日は、比較的穏やかだったので、
沖合いで釣ろうかとも思ったが、
友人はボート釣りが初めてなので、湾内で釣ることにした。

潮は、旗山崎から左に流れているので、
旗山崎寄りにアンカーを入れ、流すことにした。
アンカーは、人の頭ほどある石をロープで結んだもので、
ボートが潮の流れに乗って、
ほどよく流れる程度の重さに調整してある。
ボートが移動する度に、アイナメやカレイの小さいのが、
どちらかの竿にかかった。
友人も大分慣れてきたようなので、
『一寸沖の方へ移動してみようか?』と、声をかけ沖へ出た。

先客の迷惑にならないようにアンカーを入れ、流し始めた。
結構なアタリがあり、
『オットット!』と思わず腰を浮かすような
大きなカレイも釣れた。
退屈することなく時間が過ぎ、
時計を見ると3時をまわっていた。

釣りボート

すこし前から、風が気になっていたのだが・・・。
耳元でフードの端がヒューヒューと鳴り出した。
沖を見ると白波が立っていた。
ボートも沖の方へ流されている。
周囲にボートはいない。
「これは危ない」とアンカーを上げる。
波が盛り上がってくる・・・。
横波を受けないようにしながら、
砂浜に向かって懸命にオールを漕いだ。
オールは空転し、
焦れば焦るほど岩場に吸い寄せられていく。
波が迫ってきて、今にも飲み込まれそうになる。
必死に漕いで、何とか砂浜にたどり着いた。

ボートを降りてからも、ガタガタと震えが止まらない。
体全体が震えている感じだった。

ボート屋のおかみさんが、沖合いを見ている。
少し落ち着いてきたので、我々も沖の方を見ると
ボートが一艘、波間に見え隠れしている。
『あの人は、慣れているから大丈夫よ』とつぶやきながら、
おかみさんがこちらを見た。
我々の慌てぶりをとがめるような目で…。

しばらく見ていると、ボートは波に乗って帰ってきた。
『ちょっと波が出たねぇ。』と、何事もなかったような顔で、
おかみさんと談笑している。

しかし、怖かったなぁ。。。
ボートが転覆したら、どうなっていたんだろう。
完全装備で体の自由は利かないし、寒中だし、
おかみさんは、ただ見ているだけで
救助体制は出来ていないしなぁ、
などと思うと…。
「ライフジャケットは必ず着用すること!」と反省。

それ以来、ボート釣りはやらなくなった。

(記:副代表)

この記事のカテゴリーは「釣り日記」です。
釣り好きのまる工房副代表が、釣りの思い出を綴っています。
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